夜尿症
そもそも夜尿症とは?
5歳未満のお子様が夜寝ている間にお漏らしをすることを夜尿と言います。
5歳以降で月1回以上のお漏らしが3カ月以上続く場合は「夜尿症」と診断されます。
小学生以降も持続する夜尿症を来すお子様は一般的には治療が行われます。
夜尿症のタイプは?
夜尿症のタイプは様々です。
①多尿型
一晩の尿量がたくさん作られすぎてしまうタイプになります。一晩で小学校低学年のお子様であれば200cc程度と言われています。それ以上に尿が作られる、または飲水をたくさんしすぎることでこのタイプとなることがあります。
②膀胱型
尿量を溜めることができる膀胱の容量が少ない場合はこのタイプとなります。膀胱の機能の問題でもあり、日中も1時間おきの尿意など夜だけの症状にとどまらないことが多いです。膀胱容量の目安として小学1年生150cc以上、小学2年生200cc以上、小学3年生250cc以上と言われています。
③混合型
尿量が多く、膀胱容量も少ない場合このタイプに当てはまります。
検査方法は?
排尿の日記をつけていただきます。
日記をつけることでお子様の一日の水分摂取料、一日の尿量を正確に把握できます。
おむつ内の尿を測定するにはまずもともとのおむつの重さを計測しておきます。
朝おむつの重さを計測し、もともとのおむつの重さを引くことで夜間のおもらしの量を計測します。
丸一日尿を測定できる日取りを決め測定していただきます。この際ポイントは普段と変わらない生活をしているタイミングで測定するということです。
気候、運動、睡眠の環境によって摂取水分、汗の量、排尿量は変化します。
お出かけやたくさん運動するイベントがある等の場合は測定タイミングとしては適していません。
ただ、特に小学生の時期は活発であり、やむを得ずそうしたイベントがある時でないと測定できないことも事実です。
その場合はイベントも考慮したうえで記録を解釈していきます。
治療法は?
①生活指導
夜尿のタイプを診断した後、それぞれのタイプによって具体的な生活指導を致します。
食事内容、飲水量、就寝前の排尿習慣を見直していきます。
また夜尿に対する本人の心理的負担を軽くすることで、身体的だけでなく、心理的にも夜尿に対するネガティブな印象を改善していきます。
②行動療法
夜尿アラーム療法が一定の効果が認められており治療的根拠がある治療法となります。
夜尿アラーム装置を就寝前にパンツ内に取り付け就寝していただきます。
夜尿アラーム装置は、夜尿の水分を専用の機械が感知することでアラームがなり夜尿を来したことを本人に知らせ、覚醒を促すことで徐々に本人が意図しない排尿を自覚させることを目的とした器具です。繰り返し用いることで徐々に膀胱の容量が増大し夜尿の頻度改善につながります。
③薬物療法
夜尿症に対する薬物療法としてタイプによって薬剤を使い分けます。
抗コリン薬など膀胱の容量を調節する薬。抗利尿ホルモンなど尿量を調整する薬。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬、三環系抗うつ薬などの抗精神薬。など用います。
いずれの薬物療法でも副作用に注意しながら使用致します。
上記の治療法を組み合わせることで有効率は50-60%程度と考えられています。