LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)
そもそもLOH症候群(男性更年期障害)とは?
男性ホルモン(主にここではテストステロンと表記します。)は
加齢に伴い徐々に減少することが知られています。
テストステロン量の低下に伴い、様々な症状を来す病態をLOH症候群と定義します。
LOH症候群を患うとどうなるの?
体内のテストステロン量が減ることで、テストステロンが日頃から担っている
様々な役割に弊害がでてきます。
例えば、性欲や勃起力の低下、抑うつ状態、短気になり怒りやすくなる、
筋肉量が低下する、太りやすくなる、骨が折れやすくなる、認知機能が低下する
などが挙げられます。ただこれらの症状は全て加齢でも説明がつきます。
これは、年齢に伴ってテストステロン量が低下し、年齢とテストステロン量が
比例して推移しているからともいえます。
原因は?
テストステロンは様々な因子に影響を受け、値が変動します。主な原因は加齢です。
テストステロンは精巣より産生されますが、脳下垂体から分泌される
ホルモンによって産生量が調整されます。脳下垂体から分泌されるホルモンは
LH(黄体ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)の2種類で
それらが低下しすぎている場合はテストステロン量も低下します。
他にも、うつ状態になるとテストステロン値が一時的に下がることが
わかっています。
評価方法は?
採血やアンケート(AMSスコア)によって診断します。
遊離型テストステロンの値が8.5pg/mL以下の場合、アンケートの結果を
加味して診断します。※年代別で正常テストステロン値に差がありますので
年齢も考慮して評価致します。
例えば20歳台では11.8pg/mL以下であれば、同年代平均と比べると値は低く
LOH症候群と診断される場合もあります。ただし、治療対象として推奨されている年齢は40歳以上といわれています。
治療法は?
テストステロンを補う治療が主体となります。
国内で扱っているテストステロン補充方法は注射が主体となります。
海外では塗り薬などが使用されているケースもありますが、注射と比べ
テストステロン値は安定しません。
そのため当院でもテストステロン補充療法として臀部または肩に
筋肉注射を行っております。この注射で補うホルモンは約3週間程度で体の中で分解され、効果を失います。
当院では状態に合わせて3~4週間おきに注射を行っております。
前立腺癌の治療中、乳癌治療中、多血症、重度の腎障害、肝機能障害、
睡眠時無呼吸症候群、心不全等の既往をお持ちの方は、副作用により
既往疾患の悪化を来す可能性があり、ホルモン補充療法は適応外となります。